ちょ、ちょっと!
この人いきなり何を言い出すかと思ったら!
デリカシーというものがないのか⁈

仮にも客のプライベートをペラペラ話すって、副店長として駄目でしょう!



橘君は「え?何々?男?」と興味津々に目を輝かせている。

そういえば、橘君はその手の話が大好きな人だった…


「あ〜…えっと……っ!そう!さっき、あの店はかっこいい男の人ばかりですねって話してたの」

「なんだ、そういうことか。俺はてっきり望月さんが彼氏と来たのかと思った」

「そういう人がいればいいんだけどね」


ははは、と乾いた笑みが漏れる。

苦し紛れだったけど、とりあえず誤魔化せたかな?


それにしても、今も私を見ながら不敵に笑うこの人をなんとかしないといけない。
じゃないと、今回は誤魔化せたけど、橘君にバレるのも時間の問題だわ…


「ちょっと並木さん、いいですか⁈」


並木さんの腕を強引に引っ張り、橘君から少し離れる。