私と並木さんを交互に見てくる橘君に、一秒も間を挟むことなく反論する。


「全っ然!昨日カフェに行って一言二言話しただけ!」


冗談じゃない。
ほぼ初対面でアホとか言う口が悪い人と仲良さそうだなんてありえないし。


「へぇ。望月さん、店来たんだ!俺昨日休みだったからな」


橘君の言葉にハッとした。

待って!もし昨日、橘君が出勤してたら先輩と一緒のとこ見られてたってことだ。

橘君はテニス部じゃないけど、去年生徒会長だった先輩を知らないはずはないし。
もちろん、相思相愛の彼女がいることは全校生徒が知ってるんじゃないかってぐらい有名な話。


危なかった…
あのお店、もう一度先輩と行きたかったけど諦めるしかない。


「そうそう、こいつ男とーー」

「うわああぁぁっ‼︎‼︎」


ニヤッと笑いながらとんでもないことを話し出す並木さんに、咄嗟に声を上げた。