「ささ、行きましょ!ゲーセンとかどうですか?私、UFOキャッチャーやりたいな」


何も気にしてない、全然平気だと、わざと元気を装って先輩の手を引いて歩く。


私、多分ちゃんと笑えてない。
その証拠に、


「ああ……そうだね」


と言った先輩も悲しそうで、無理やり笑顔を作っていたから。

私はそんな先輩に気付かない振りをした。



本当は、心の中は彼女への嫉妬と何も言ってくれない先輩への不満でいっぱいで、


“私は先輩の何ですか?”
“私のことどう想ってますか?”


何度も口から出そうになった言葉を必死で飲み込んだ。



聞いたらいけない。

聞いたら全てが終わる。


パンドラの箱に固く鍵を掛けて、不安な想いと共に心の奥底へ仕舞い込むしか出来ない私は、本当に幸せだと言えるのだろうか。