鈍感と天然はいいのか、とつい突っ込みたくなるのを抑えると、ぷくっと頬を膨らませた恵里奈の顔を両手で挟む。
途端に空気が抜け、間抜けな顔になる恵里奈。
店の中には、やれやれと呆れたようなハルと柚姫ちゃん。
そして、何故だか機嫌が良さそうな卓人。
そういや、卓人に相談したんだっけ(不本意だけど)。
「ちょ…離して、くらさい…」
「ああ。悪い悪い」
手を離してやると、恵里奈は頬を撫でながら、「並木さん…」とやや俯いた。
「ん?」
「あの…」
言い辛そうに、恵里奈は口をごもごもさせている。
ああ、そうか。
京子とのこと聞きたいんだろう。
もう不安にさせないために、今日京子と約束してることは隠さず話した。
快く送り出してくれたけど、やっぱり不安だったんだと思う。
元カノだしな…
俺だって、もし同じ立場ならわかってても嫌だし。
「結婚するんだって」
まだ決まってないけど、あの様子なら恐らく近いうちに報告が来るだろう。

