ベランダに出て、煙草に火をつける。 ふぅっと煙を吐くと、それはゆらゆらと真っ青な空に昇って行った。 負けられないな、京子には。 あいつはパリで、俺は日本で。 次会うときは、数年も先だろう。 もしかしたら、あいつは一生向こうにいるかもしれない。 でも、もしもう一度会えたら。 そしたら、昔のことを笑って話せる仲になりたいと、心から思う。 『…またな』 煙草の火を消すと、そう呟いたーーー。