ああ、やっぱかっこいい。
すれ違う女子が顔を赤くして振り返るほどイケメンの先輩。

この人は、私のものーー…。



「そんな見つめられると、俺どうしたらいいかわかんないんだけど」

「へっ⁉︎…わっ!ご、ごめんなさいっっ」


私をからかうように顔を近付けて言う先輩に、カァッと頬が熱くなるのを感じて咄嗟に視線を逸らした。


くすくすと、先輩の笑い声が聞こえる。


う〜…もうヤダ。
見惚れてたのがバレるなんて恥ずかし過ぎる。

それに、不意に先輩の顔が近くにあるのは、免疫のない私には刺激が強くて心臓がおかしくなっちゃいそうだよ…



まだほんのり熱い頬を冷ますように、パタパタと手で扇いでいると、


「恵里奈ちゃん…」


と、さっきまで笑っていたはずの先輩が急に真面目な顔をして私を見据えた。

嫌な予感が頭を過る。