「恵里奈…?」
「恵里奈ちゃん…?」
田村と柚姫ちゃんが、心配そうな表情で恵里奈の顔を窺う。
「瀬奈。今、お母さんからメールが来て早く帰って来いって…だから、ごめん。先に帰るね」
「え?ちょ…恵里奈っ!」
恵里奈は財布からお札を取り机に置くと、バタバタと鞄を持って店の出口に向かった。
慌てて追いかけて、恵里奈の手首を掴む。
「恵里奈!待てって」
「ごめんなさい。早く帰らないと、怒られちゃうから…」
「じゃあ送るかーー」
「いらないっ‼︎」
俺の言葉を遮るように、恵里奈が声を上げた。
店内がシーンと静まり返る。
ややして、恵里奈が「はぁ」と一息つくと、潤んだ瞳で俺を見つめた。
「お願いだから…離して…?」
「っっ」
今にも泣きそうな恵里奈に、思わず息を飲む。
一瞬、俺の力が緩んだ隙に、恵里奈は俺の手をすり抜けて店を飛び出して行った。

