「でもこのスクランブルエッグ、ふわふわのトロトロで、今まで食べた卵料理の中で一番美味しいです!」

「バーカ。大袈裟だっつーの」


うまそうに食べる恵里奈の姿に、キスしたい衝動に駆られる。

こいつといると、ホント不意打ちにドキッとさせられることが多い。
まだ高校生なのに、恵里奈は俺にとっては全てが魅力的だ。

スタイルも、童顔なのにやや厚い色っぽい唇も。
声の甘さも、華のような笑顔も。

幸せそうに食べる姿も。

全部が愛おしい。


「今度は絶対私が作ります。並木さんに食べてもらいたくて頑張って練習してるんですから楽しみにしてて下さいね?」


俺と付き合ってから料理の勉強を始めた恵里奈。

意外と不器用で、指に何箇所か絆創膏を貼っていて。
日に日に増えていくような気がするのは気のせいじゃないと思う。

俺には包丁で切ったとか、痛いとか一切言わないんだよなぁ…

ああ、ヤバイ。
やっぱり、我慢するなんて決めなきゃ良かった。

自分の為に怪我をしてまで頑張る恵里奈を目の前にして、我慢しなきゃならないなんて酷だ。