「な…みき、さん…?」

「起きたか?」


まだしっかり開かない目を擦りながら、恵里奈はゆっくりと身体を起こし、ほけーっと窓の外に目を向けた。


「あれぇ?今何時ですか…?」


寝起きの甘ったるい声に、年甲斐なくドキッとしてしまう。


「まだ7時。もう少しゆっくり寝てろよ」

「ふぁーい。並木さんは?」

「ん?俺はお前の寝顔見てるわ」


さっきは邪魔が入ったし、昨日は理性との勝負でそれどころじゃなかったし。
やっと恵里奈の寝顔を堪能出来る。

そう思ったのに。


「ふぇっ⁉︎だ、駄目ですよ!寝顔見ちゃ」


恵里奈は俺の言葉に目をぱちくりとさせた後、両手をブンブンと振り全力で拒否をしてきた。

こういう反応が素直で、すぐ顔を真っ赤に染めるところが堪らなく可愛くて、つい虐めたくなる。


「なんで?」

「な、なんでって…ヨダレ垂らしちゃうかもしれないし…それに、不細工だもん」


何だよ、それ。
こいつ誘ってんのか?

寝起きだからなのか、若干潤んだ瞳と拗ねたような表情が俺の理性をくすぐってくる。