『いっだぁ…っ』

『望月さん!大丈夫⁉︎』


いつの間にか、私の所まで来ていた先輩が心配そうに眉を下げて聞いてくる。

突然のことに、準備をしていなかった私の心臓は大きく跳ね上がった。


『は、はいっ、大丈夫です』

『すぐに保健室に行こう』

『えっ?でも私、本当にーー』

『駄目。ちゃんと冷やさないと』


『行くぞ』と、私を立たせて強引に手を引く先輩に、私は戸惑いながらもついて行った。


保健室に着くと、保健の先生は不在だった。
先輩が氷水を作って渡してくれる。


『ごめんな。あれ、俺が打ったボールなんだ』

『そんなっ!先輩のせいじゃありません。私が見てなかったというか、ノロノロとしてただけで』


私のせいで先輩が落ち込んでる…

私の馬鹿っ!ノロマっ!
大好きな先輩に迷惑掛けるなんてアホもいいとこよ!


頭の中で自分を叱責していると、『ちょっと見せて』と先輩が私の後頭部に手を当てた。