「いってぇな…」
眉を寄せ、ギロッと私を睨み付けてくる男。
金髪で、ピアスを片耳に3、4個着け、目付きが悪く、その学生グループの中では一番見た目が怖い。
ゔ、うわぁ…ヤバイ。
よりによって、なんでこの人にぶつかっちゃったんだろう…
とりあえず、謝るだけ謝って走って逃げちゃおう!
駅まで行ければ駅員さんもいるし、近くには交番もあるし大丈夫っ。
「す、すみませんでしたっ!」
言った後すぐに、逃げようと学生の脇をすり抜けると、
「おいおいおい、逃げられると思ってんのかよ」
ガシッと肩に掛けた鞄を掴まれてしまった。
や、やっぱり…
そう簡単には見逃してはくれないですよね…
「へぇ、アンタ可愛いじゃん」
そう言って、私を下から上まで観察するように見る男にぞわぞわっと鳥肌が立つ。
いつの間にか、その学生グループに四方を囲まれていて逃げ場もない。
周りの大人は、もちろん見て見ぬ振り。