二人の仲睦まじげな様子に、見てるこっちが恥ずかしくなる。
それと同時に、凄く羨ましくて。

想像してしまう。
あの人の隣りを、堂々と歩く自分の姿を。

こんな時、以前なら先輩のことを想像してたのにな…


自分の呆気ない心変わりに苦笑いが漏れる。


私って最低…なんて、気持ちが沈んでいると、「恵里奈さん、大丈夫?」と平井さんが心配そうに顔を覗かせた。


「ごめんなさい。ちょっと、ぼーっとしちゃいました」


いけない、いけない。
すぐ自分の世界に入るのは私の悪い癖だ。

ん?そういえば。


「私の名前…」

「勝手に名前で呼んでごめんなさい。私、ハルちゃんの従姉妹なんです。あなたのことはハルちゃんから聞いてました。並木さんに好ーー」

「おい、それは言っちゃ駄目だろ」


平井さんの言葉を槙村さんが態と遮ると、平井さんはしまったと言わんばかりに口元を抑えた。


「え?何ですか?」


並木さんにす…って言い掛けてたけど。

“す”に続く言葉って?
すすす…すき焼き、寿司、スイカ…
って、食べ物ばっかだし。

考えても全くわからない。