「生徒会長とか、サッカー部のキャプテンとか、去年までは上級生にも告白されたよ」

 はあ?
 そんなこと、今まで一言も俺には言わなかっただろう。

「生徒会長とか、サッカー部のキャプテン? 女子の憧れの的じゃん。やっぱり年上だよね。仔猫ちゃんだから、年上にモテるんだね。礼奈ちゃんも年上好きだしね。高校生になったら大変だ。モテ期突入だよ」

「……そんなことないよ」

 桐生は同級生だ。今言ったメンツに桐生は含まれてはいない。俺が知らない間に、礼奈が沢山の男から狙われていたなんて。

 なんてことだ!

「創、うかうかしてらんねーな。狼の群れに可愛い仔猫を放り込むなんて。俺なら怖くてできねぇよ」

「いやん、怖くてできないなんて、良は狼より先に襲っちゃうくせに」

 良介と妃乃ちゃんが、嫉妬に狂う俺をさらに煽る。

「礼奈がモテ期に突入しようが、他の男に告白されようが、そんなのカンケーないよ。それに俺は良とは違うし。なっ、礼奈」

「うん」

 礼奈は笑顔を俺に向けた。

 マジで……可愛い。
 ヤバイな、これは本当にモテ期に突入するかも。

 どうすれば、礼奈を狼の群れから守れるのか……。

 今さら俺が高校生にはなれないし。フローラ大学附属高校を彷徨いていたら、不審者扱いされて、警察に通報されかねない。

 これは困った……。

 何の解決策も見つからないまま、礼奈は中学校を卒業し、花のJKになる希望に胸を躍らせ、楽しい春休みに突入した。