「……っ、てめぇー！ 何で抱き合ってんだよっ！」
「へっ？」
――翌朝、敏樹に頭をどつかれ、俺は目覚めた。なんで、車のスペアキーを持ってんだよ。
「いてぇな！ 何もしてないだろ！」
「うっせえー！ 腕枕してんじゃん！ 礼奈、礼奈、大丈夫か？ コイツにエッチなことされてねぇか？」
「……お兄ちゃん、うざい。お兄ちゃんと一緒にしないで」
「う、うざいっ！？ この俺がうざい？ お、俺は礼奈に言えないようなことしてねぇし。創！ なんでお前は運転席で寝ないんだよ！ 全く油断も隙もねぇやつだな。ほら、朝飯を食ったら自由時間だ。昼食後にテントを畳むから、さっさと起きて手伝えっつーの！」
「俺達はテント使ってないよ。テントを畳むなら、四人でしろよな。礼奈、朝食の支度しよう」
「……うん」
俺は礼奈の手を取り、車から降りた。
湘南の朝、眩しい太陽。
爽やかな潮風が、超気持ちいい。
俺達の前をプンプン怒りながら歩く敏樹の目を盗んで、俺は礼奈の頬にチュッてキスをする。
「うふっ。創ちゃん、おはよう」
「おはよう、礼奈」
超可愛い顔で、礼奈は俺を見て笑った。
まじで、食っちゃいたいくらい可愛い。
◇
ホットドッグとモーニングコーヒー。
朝食を食べた俺達は再び海で泳いだり、ビーチバレーを楽しむ。
昼食は焼きそばとフランクフルト。
昼食後テントを畳み、俺達は帰り支度を始めた。
車に荷物を詰め込み、俺と礼奈は一番後ろの座席に乗り込んだ。
「ねぇ？ 昨夜はどうだったの？」
妃乃ちゃんが俺達に野暮なことを問う。
「どうって？」
「二人で車中泊したんでしょう？ どうなのよ、初めての夜は」
「どうって？ トランプして、朝まで爆睡したけど。なぁ礼奈」
「……うん」
「はっ？ 爆睡？ せっかく二人きりにしてあげたのに？ 車の中でトランプしたの？」
「そうだよ。敏樹の命令に忠実に従ったまでだ」
「トランプか……？ まじかよ、敏樹。それ、嫌がらせか。ていうか、二人きりでババ抜きかよ」
良はゲラゲラと笑っている。
「まじで？ 創君……すごい」
妃乃ちゃんは目を丸くしている。
お前らと一緒にするなよな。
「俺達は清らかな交際ですから」
「ふーん……。清らかねぇ。あっ、礼奈ちゃん。私達も清らかな交際だからね。変な想像しないでね。昨夜はテントでゲームしてただけだから」
どこがゲームなんだよ。
想像通りに決まってるだろ。
でも、そんなことはもうどうでもいいんだ。
俺達も幸せな夜だったから。
俺は礼奈を見て微笑む。
礼奈も俺を見て微笑む。
甘い欲望に打ち勝った自分を、褒めてやりたい。
敏樹は満足そうに、「カッカッカッ」と高らかに笑った。
お前は悪代官か。
「へっ？」
――翌朝、敏樹に頭をどつかれ、俺は目覚めた。なんで、車のスペアキーを持ってんだよ。
「いてぇな！ 何もしてないだろ！」
「うっせえー！ 腕枕してんじゃん！ 礼奈、礼奈、大丈夫か？ コイツにエッチなことされてねぇか？」
「……お兄ちゃん、うざい。お兄ちゃんと一緒にしないで」
「う、うざいっ！？ この俺がうざい？ お、俺は礼奈に言えないようなことしてねぇし。創！ なんでお前は運転席で寝ないんだよ！ 全く油断も隙もねぇやつだな。ほら、朝飯を食ったら自由時間だ。昼食後にテントを畳むから、さっさと起きて手伝えっつーの！」
「俺達はテント使ってないよ。テントを畳むなら、四人でしろよな。礼奈、朝食の支度しよう」
「……うん」
俺は礼奈の手を取り、車から降りた。
湘南の朝、眩しい太陽。
爽やかな潮風が、超気持ちいい。
俺達の前をプンプン怒りながら歩く敏樹の目を盗んで、俺は礼奈の頬にチュッてキスをする。
「うふっ。創ちゃん、おはよう」
「おはよう、礼奈」
超可愛い顔で、礼奈は俺を見て笑った。
まじで、食っちゃいたいくらい可愛い。
◇
ホットドッグとモーニングコーヒー。
朝食を食べた俺達は再び海で泳いだり、ビーチバレーを楽しむ。
昼食は焼きそばとフランクフルト。
昼食後テントを畳み、俺達は帰り支度を始めた。
車に荷物を詰め込み、俺と礼奈は一番後ろの座席に乗り込んだ。
「ねぇ？ 昨夜はどうだったの？」
妃乃ちゃんが俺達に野暮なことを問う。
「どうって？」
「二人で車中泊したんでしょう？ どうなのよ、初めての夜は」
「どうって？ トランプして、朝まで爆睡したけど。なぁ礼奈」
「……うん」
「はっ？ 爆睡？ せっかく二人きりにしてあげたのに？ 車の中でトランプしたの？」
「そうだよ。敏樹の命令に忠実に従ったまでだ」
「トランプか……？ まじかよ、敏樹。それ、嫌がらせか。ていうか、二人きりでババ抜きかよ」
良はゲラゲラと笑っている。
「まじで？ 創君……すごい」
妃乃ちゃんは目を丸くしている。
お前らと一緒にするなよな。
「俺達は清らかな交際ですから」
「ふーん……。清らかねぇ。あっ、礼奈ちゃん。私達も清らかな交際だからね。変な想像しないでね。昨夜はテントでゲームしてただけだから」
どこがゲームなんだよ。
想像通りに決まってるだろ。
でも、そんなことはもうどうでもいいんだ。
俺達も幸せな夜だったから。
俺は礼奈を見て微笑む。
礼奈も俺を見て微笑む。
甘い欲望に打ち勝った自分を、褒めてやりたい。
敏樹は満足そうに、「カッカッカッ」と高らかに笑った。
お前は悪代官か。
