キスより楽しいこと。

 礼奈をギュッて抱き締めること。
 礼奈と体を密着させているだけで、俺は幸せな気持ちで満たされる。

 男だから女子よりは、色々大変だけど。

 すぐに暴走したがる欲望が、脳内にはたくさん潜んでいるけれど。まだそれらに負けないだけの強い意志はある。

 二人で夜空を見上げながら、小さい頃の話とか、中学校の話とか。俺の知らない礼奈のことをいっぱい聞けて。

 くだらない冗談の合間に、ギュッとしたりアイコンタクトしたり、それだけでドキドキして。

 可愛いな。
 めっちゃ好きだよ。

 何度も、礼奈への想いを確信した。

「あの星が掴めたら、それで指輪を作りたいな。どんなに高級な宝石よりも、美しいはずだ」

「星で……指輪を?」

「きらきらして綺麗だよ。それに何でも願い事を叶えてくれそうだし」

「うふっ、そうだね」

「星で作るティアラもいいな」

「ティアラ?」

「王女様みたいなティアラ。礼奈に似合いそう」

「やだ。創ちゃん、子供みたいな夢だね」

 もしも星で作ったティアラを礼奈がつけたら、どんなに綺麗だろう。

 礼奈の髪を撫でながら、俺はずっとそんな話ばかりをして気持ちを鎮めた。

 二人でいると眠気なんて、全然起きなくて。

 このままずっと夜ならいいのに。
 朝なんて来なければいいのに。

 そうしたら……。
 ずっと礼奈とこうしていられるのに。

 天使のような可愛い笑顔。
 満天の星みたいに、俺だけに注がれる甘い光。

 礼奈、大好きだよ……。