「創ちゃん、星が綺麗だね」

「そうだな……」

 夜空に煌めく星よりも、隣に寝ている礼奈の方が何倍も綺麗だよ。

 俺の腕まくらで、夜空を見つめる可愛い顔。

 どうしよう……。
 キスしたくなってきた。

 キスしようかな。
 キスくらいしてもいいよな。

 あいつら、今頃テントでイチャついているんだから。

 礼奈の体を引き寄せ、その髪に優しく撫でる。会話は途切れ沈黙が流れる。

 首の後ろがちょっとだけ汗ばんでる礼奈。俺は緊張から汗だくだ。

「礼奈……あ、暑くない?」

「うん、ちょっと……暑い」

「車の窓を開ける?」

「やだ……外から見えちゃうもん」

 見えちゃうもんって……。
 
 そんな色っぽい言い方しなくても。

 もしかして、俺の下心も見えてるのか?

 車の窓にはカーテンもついてるし、しかもスモークガラスだし、プライバシーはバッチリ確保されてる。

 そもそも、ここは駐車場だ。
 周辺の車の所有者は、みんなテントかバンガローで楽しい夏の夜を過ごしているはずだ。

「……礼奈……キスしていい? お、おやすみのキスだから」

「うん……」

 俺は礼奈の額にチュッとキスをする。

「……っ」

 車の中でキスするのは初めてだよ。なんか……テンションが上がってきた。

 額にキスしただけなのに、礼奈の頬はほんのり赤く染まる。

 額にしかキスができない焦れったさと、はにかんだ礼奈の顔が可愛くて、もう一度額にキスをすると、礼奈の可愛い声が漏れた。

「……やだ。くすぐったいよぅ」

 どうしよう……。
 もう制御不能だ。

 ロボットだって誤作動を起こすことはある。

 礼奈が呼吸しているだけで、その息が頬にかかり俺の理性を破壊していく。

 理性なんて、理性なんて、この世から抹消だ。

 このキャミソールワンピースの肩紐のリボンを解くと、パラッとはだけるんだよな。

 『簡単じゃん。解いちゃえよ』欲望が俺の脳内で悪魔のように囁いた。