「少しずつだけどな。なあ礼奈。人を疑わない素直な礼奈が俺は好きだよ。だけど無防備過ぎるのは危険だ。優しくすると、男はその気があると勝手に勘違いしてしまうんだ。男って単純な生き物だから、自分の都合がいいように解釈するんだよ」

「創ちゃんもそうなの?」

「俺のことはいいの。男と女の間に友情が成立するかもしれないけど。相手に恋心があれば友情なんて成立しないんだから」

「……そうかな」

「当たり前だろ。優しさも時として罪だからね」

「はい、反省してます」

 俺は礼奈の頭をガシガシと撫でる。
 礼奈は嬉しそうに「テヘッ」て笑った。
 本当に反省してるようには見えない。

「バイトに行って来るよ」

「うん、行ってらっしゃい」

 礼奈にチュッてキスをしたい気持ちをグッと抑え、俺は礼奈の家を出る。

 ヤバい、急がないとバイト遅刻だよ。

 本当は敏樹みたいに、ガツンと礼奈を叱りたかったけど、礼奈の顔を見ているとキツく叱ることが出来なかった。

 でもさすがに礼奈も懲りただろう。
 これで少しは男子との接し方も変わるはずだ。

 こんなことを繰り返されたら、俺の寿命が縮まってしまう。

 ――ギリギリでバイト先のレンタルビデオ店に行くと、店内にサッカー部のマネージャーがいた。