「お風呂のお湯はたまっているのね? 先に汗を流してくるから、適当に作っていて? あとで手伝う」


「うん、ありがとう」


答えながら、あたしは冷蔵庫から豚肉とショウガを取り出した。


陽菜ちゃんはあたしよりもずっとしっかり者で、高校卒業前にちゃんと就職も決めていた。


そんな陽菜ちゃんを見ていたから、あたしも当然陽菜ちゃんと同じように就職できるものだと思っていた。


だけど、現実は違った。


学力や生活態度の差はもちろん、就職難という最大の壁があたしの前には立ちはだかっていたんだ。