・・・無言のまま、羽菜がいる場所に向かう。

「…ぁ、博さん、お疲れ様です」

「…帰りなさい、羽菜」


「・・・・え?」

思っても見ない言葉に、羽菜の顔が硬直する。

…なんでもない理由かもしれない。

さっきの事を、深く考え過ぎているだけかもしれない。

それでも、羽菜に触れた岡田を許すことも、

岡田に触れられてる羽菜が、何の抵抗もしなかったことが、

どうしても許せなかった。


「もう現場には来るな」

「…博さん、どうしたんですか?」

羽菜の声がとても小さい。

不安なのがヒシヒシと伝わってくる。


「仕事は遊び場じゃない・・・

用があったら、オレから連絡するから・・・」


「…はい、分かりました。・・・仕事の邪魔してごめんなさい」

俯いたままそう言った羽菜は、それ以上何も言わず、

現場を後にした。


・・・ふと、資材の上に、ナイロン袋が置かれているのに気付いた。