大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

「そこでだ」

「…博さん?」

突然私の手を掴んだ博さんはニッコリ笑った。


「この家の隅から隅まで、羽菜に写真を撮ってもらいたい。

もし、壊すことになれば、原型は全く分からなくなる。

良い物は、壊さないように、外し保管するけど、いけないものは、

壊すから、後で、再現できるように」


「そんな事、可能、なんですか?」


「オレの腕でどこまで表現できるかわからないけど、

精一杯やらせてもらうよ」

その言葉を聞いて、一気に安堵感が広がった。


・・・そしてまた、無意識に、博さんに抱きついていた。


「羽菜の感情表現は分かりやすいな」

そう言ってクスクスと笑う博さん。

…なんだか子供っぽい自分が恥ずかしくなって、頬を染めたが、

それを隠すように、博さんの胸に顔を埋めた。



「羽菜」

博さんの優しい声が、耳に聞こえた。

「なんですか?」

少しくぐもった声で、聞き返す。