神楽先生には敵わない



ミーンミンミンと油蟬達の合唱が街中に響き渡り、空からは痛いぐらいの厳しい日差しが突き刺さる。


私は初めて買った日傘を差しながら一先ず会社に戻る事にした。


先生を探し出そうも、あまりにも移動範囲が広く携帯もマンションに置きっぱなしらしいので、早々に諦めたのだ。




「ん?」



その時地元の町内会の掲示板に張り出されていた一枚のポスターに思わず足が止まった。



「花火大会…」



結構な歴史があり、

一万発以上の花火が打ち上がると大きく書かれている。

  




「そんな季節なのかぁ。もう八月だもんなぁ」

「―ー早いねぇ。もう一年の半分以上終わっちゃったもんねぇ」

「あっという間ですよねぇ、せんせ…んんっ!?」




独り言を呟いていたはずが、何故か無意識に会話になっている事に気付き、

その上聞き覚えのある声に、慌てて振り返れば背後にはニッコリ笑った先生の姿があった。