「みちるちゃーん、赤になっちゃうよ~」


既に渡りきっていた先生に呼ばれ、

信号機が点滅し始めたのを見ると私は慌てて横断歩道を渡り出した。





「どしたの、急にぼーっとしちゃって」


渡り切った私に先生が不思議そうに顔を覗き込む。



「べ、別に....」

「あ!わかった!」



私が俯きながら目線を落とすと、
何か思い付いたようにニヤニヤし始めた先生。




「僕がクリーム嘗めとってあげたからドキドキしてるんでしょ?」

「!!」




そうはっきり言われた瞬間顔から火が出るぐらい熱くなったと同時に一気に恥ずかしいくなった。




「こっこんな公衆の面前で何言うんですか!変態っ!!」



そしてそのまま先生の頬に平手打ち。


いでっと先生は赤くなった頬を自ら手で抑えながら、叩かれた反動でズレた眼鏡を直した。




「みちるちゃん~、いい加減手出すの辞めてよ~。お嫁に行けないよ~」

「ほっ、ほっといてくださいよっ!!」



心臓がドキンドキンッ!と素早く脈打ってる中、私は先生を置いて足早に歩き始めた。





ーーホント変態だよ!あの人!!

何考えてんのよっ




残ったクレープを食べながら先生の言動に苛々する私は、



胸の中にある熱い本当の感情の意味を、

まだ知らないままだ。