神楽先生には敵わない


そして私をそのまま強く抱き締めると胸の内を話してくれた。



「本当はあのまま素通りすればよかった。後ろ姿ですぐみちるちゃんだってわかったしね。でもできなかった、ずっと心残りだったから。あんな別れ方」



先生の声がすぐ側から聞こえてくる距離の近さに、
胸の鼓動の速さが更に加速してる。


でもそれ以上にこうやってこの場所に戻ってこれたという安心感の方が上間ってきて、

堪らず先生の胸の中に顔を埋めたまま、背中に腕を回してぎゅとしがみついた。



「あぁやって突き放す事が良かったんだって、自分の中で言い聞かせてきたけど、やっぱり納得できなかった。僕はみちるちゃんの気持ちから強引に逃げたんだから」




そう話す先生の声で今どんな顔をしているかなんて、手に取るようにわかる。


きっと全て自分の責任だと感じて苦しげに顔を歪ましてるはずだ。