神楽先生には敵わない



「へ?」


その一言に思わず顔を上げて先生の顔を見つめた。

驚いて見開いた瞳から溜まっていた涙がポロっと落ちて頬を伝う。



「そう言ってもらいたいんでしょ?みちるちゃんがそれで納得できるんだったら幾らでも嘘ついて言ってあげる」

「嘘…?だってさっき言ったのは先生の本心じゃ…」


フッと鼻で笑う先生に私は訳が分からずキョトン顔で問いかけた。





明らかに私と先生の間には温度差がある。

それに先生に言葉の意味だって全く意味がわからない。


頭の整理が出来ないまま呆然としていると、先生の指が私の涙を優しく拭き取ってくれた。



「嫌だなぁ。僕がそんなことを言う冷酷な人間だと思う?」


ジッと見つめるその顔はいつもの優しいままで。