『まぁ、しょうがない。もし来れるようなら連絡してくれ』
「分かりました。じゃ失礼します」
椎名の声が怒りから呆れ声になったのは一目瞭然だった。
でもそれ以上嘘をついてしまった事に何だか罪悪感を感じてしまう。
「怒ってたんじゃない？彼」
そう言って二つ分のコーヒーカップを持ってきたのは先生だ。
あの後会場には行かずそのまま先生のマンションに来た。
だって先生にあんな事言われてしまったら、
忘年会に行く理由なんて見つからないもん。
「まぁ。はい。明日会ったら一応謝っておかないと」
「別にいいんじゃないの～？彼氏でもなければ同僚でも、はたまた上司でもないんだからさ」
差し出されたカップを受け取ると、先生と同じタイミングでソファーに座った。
久しぶりに見る仕事場の部屋。
何も変わったところなんて無いのに、何処か新鮮味を感じる。
「どうしたの、まじまじ見渡しちゃって」
