神楽先生には敵わない


「私、何かミスしましたか?取り返しのつかない事しちゃいましたか」



自分の仕事に間違いや致命傷になるようなことなど、全く検討がつかない。


今まで通りにやってきて、
それを先生は近くで見て一番知っているはずだ。


なのにどうして急に―――――。




「…みちるちゃん僕の事好きでしょ」


ドキッ!!!


サラッと言った一言に、私の心臓が大きく飛び跳ねた。


「え、あっ、その…」




あまりにも突然過ぎてうまく言葉が返せない。

意表をついたその一言に私の頭も心もパニック状態だ。




「その気持ちは嬉しいんだけどさ、ほら、僕もうこんなジジイだしさ。何て言うのかな…」



苦笑いする先生の横顔は何処か申し訳なさそうで、
何処か困ったようにも見える。



「みちるちゃんとは凄い歳も離れてるし、そういう感情って恋愛じゃないと思うんだ」




先生の優しさかもしれないと感じたのは、
ストレートじゃなく遠回りした言い方。


飛び跳ねた心臓の奥が今度は強く締め付けられるような感覚がした。



先生からそんな言葉聞きたくないのに。


やっと近づけたと思ってたのに。