神楽先生には敵わない



すっかり外は夜になり、要約校正チェックが終わり一日の業務が終わった。



「んー、疲れた」



グッと両腕を天井に上げ背筋を軽く撓らせながら体を伸ばす。


周りを見れば編集部にいるのは私だけで、
ふと携帯の待ち受けを見ればすっかり定時を過ぎていた。




「私もそろそろ帰ろう」

ふぅと一息ついて立ち上がると、よう。と入口から男性の声が聞こえてきて何気なく振り向いた



そこにいたのは帰り支度を終えた椎名が立っていた。

同じ階に女性誌と漫画誌の編集部があるので、
きっと編集部を軽く覗いたのだろう。



「今から帰るのか、どうだ飯でも」

「…いいですよ。特に用事も無いし」



断る理由も無いし、明日は週末なので多少無理しても体には響かない。




それに、誰かと一緒なら考えなくてもいいことも、

考えなくてすむかもしれないから。




先輩には悪いけど、気晴らしには丁度いいかな。



「玄関で待ってるぞ」


椎名はそう言い残しその場を去っていく。

私も身支度を始め早々に誰もいない編集部を後にしたのだった。