******************りまと來車の中にて***********************************
「……………あ。言い忘れてたけど」
沈黙の中、いきなり喋りだした先輩。
ちなみに、車の中は先輩しかいないから素の自分でいる。
「………?」
「りまとCMの女子の二重の演技、よくやったな。
体の方は大丈夫か?」
「は、はい!!大丈夫です……。」
本当はかなり疲れたけど。
「バーカ、本当は死にそうなくらい疲れてるって顔にでてるぞ。」
ミラー越しに顔を覗いてくる先輩。
ていうか、最近バカって多くない?
「うそ……。そんなにわかりやすいですか?」
「ああ、適当に答えたのまるわかりだ。
あんなに演技は出来るのに、顔には出るとかな。」
「なっ……!」
やろうと思えば顔に出さないですむし。
ただ、なんていうか……。先輩の前だと……
「俺の前だと気を抜いちゃうのか?」
ぎくっ……。
なんで?こ、声出てた?
ミラーに映る先輩のニヤッとした笑い。
「図星か?そりゃ嬉しいことを言ってくれんじゃねぇか。」
「なななな、何も言ってません!!」
「ぶはっ……!!!動揺しすぎだろ。」
「先輩こそ、なんでそんなに爆笑してるんですか!!」
そういうと返ってきたのは、にっていう笑い。
悔しいハズなのに……少し胸が高鳴った気がするのはなんだろう?
「何余裕ぶっちゃって…………今度は絶対………。」
気をまぎらわすために呟き続ける。
「おい、ぶつくさいってねーで用意しろ。もうつくぞ。」
「…………はぁい。」
それから数十秒後におろされた私は先輩に超棒読みで
「今日一日どうもありがとうございました。」
といってやった。
まぁそのままで済むとは思ってなく、案の定先輩から
「おい、もっとマシな挨拶できねぇのか?」
という声。
私は負けずにとびきり笑顔の芸能人モードで返してやった。
「先輩?今日は本当にありがとうございました♪」
ペコリとお辞儀。
そのままドアのぶに手をかけた瞬間やっぱり先輩の声。
「お前、まだ根に持ってんの?
あれは余裕ぶってんじゃなくて余裕なの。」
む~~~っ。
「さようならっ。」
ガチャッ、バッタン!!
…………あーあ。
家のドアこんな乱暴に扱ったの初めて。
