なんで私が芸能人ッ!?






う、わ………。




駐車場からでた先輩と私は、撮影スタジオに出ていた。
そしたらなんか、現場がとてつもなく本格的!!
……って当たり前なんだけどさ、本物だし。




わ~、なんか今から緊張……。
だってメガネはポケットに入ってるし、いくら芸能人モードでもまわりがキラキラすぎてヤバイ。




「おいりま、大丈夫か?」




そんな固まりかけてる私を見かねた先輩が声をかけてきた。




「だ、だいじょぶです……。」





「って、芸能人モードでそれかよ。」





うん、これはヤバいぞ。真面目にガチめに。
ど、う、し、ま、しょ?
どうしましょ?




………じゃなくて!!!
えーと、えーと……




あっ!!!!
藤峰さんからもらった香水!!
今日リュックに入れてきて良かったぁ。




「先輩、ちょっとトイレ行ってきて良いですか?」




「ああ。けど、早く戻ってこいよ?
トイレはさっき通った通路にあったからわかるな?」




「はい。」




返事だけして、素早くトイレへ。
とにかく早くこの緊張から逃れたい。
メガネと同じ効果のある香水をつければきっと芸能人のりまがしっかり私になってくれるだろう。




ガチャ。



トイレの扉を開けて、急いで洗面台に。
リュックから香水を取りだし、首もとに一吹き。




「っっっはぁ~~~。」




やっぱり落ち着く香り。
藤峰さんありがとうございます。




落ち着いたところでトイレを出る。
今日は撮影の他に打ち合わせもちゃんとやるらしいから急がなきゃ。




そして、トイレをでた瞬間。





ドガンっ!!!




衝撃がおでこに走る。





「いてテテテ……。」




なにかにぶつかったおでこをさすりながら顔をあげる。
…………誰?この人。




「いってー。あれ?てか君りまちゃん?」





え?なんで名前知ってるの?私知らないよ?
Who are you?




「あ、もしかして知らない?
俺、相崎俊。よろしくね、矢城ひまの妹ちゃん?」





「相崎俊……ってCMの共演者?」





共演者なら芸能人モードじゃないとね!





「ピンポーン。ちなみに、前にも一回あったことあるんだよ?」




「え……?」




なにそれ、知らないんだけど……。




「忘れちゃった?あの頃とは大分変わったみたいだね。
噴水でわんわん泣いてた泣き虫りまちゃん?」





噴水…………?





「あ!!まさか、あのとき撮影現場抜け出して私を慰めてくれた男の子!?」





5歳くらいの時かな?
お姉ちゃんは3歳からデビューしてたから撮影現場によくついていってた。
嫌われてたくせして、その時は一人が嫌だったから。……今は違うけど。




お姉ちゃんとはぐれて、お母さん達に怒られるとか思って噴水に座り込んで泣いてた。
だからかわかんないけど、恐怖心が無くて家の事情からなにから全部男の子に話したんだ。




「ピンポンピンポーン。お母さん達、よく芸能界入るの許してくれたね?」





「お、お母さん達には言ってないの……。
それと、今私演じられてる芸能人のりまだから。
あっ、このこと言わないでね?」





小さいときの記憶で、演じてることまで話しちゃう。
いや、小さい時もそうだったな……。独特の雰囲気があって、全部さらけ出しちゃう。





「ふーん、そっか。じゃあ素は相変わらずの泣き虫りまちゃん?
っていうか、親の許可無しで事務所の方はおっけーしたんだ。」





「社長さんが事情理解してくれてて、親代わりとして書類とかいろいろやってくれたの。
ってもう泣き虫じゃないよ!!」




「そーなんだ。まぁ良いや。
とにかく今日は頑張ろうね、彼女役のりまちゃん♪」





そういって、控え室かどこかに向かった相崎さん。
びっくりしたなぁ……、あのときの男の子なんて。




って、私ももどらなきゃ!!
先輩にしかられる!