深呼吸してみたら、なんだかすごく気が抜けてしまった。
一週間以内に仕事かぁ……。
それまでにしっかりりまを作らないとな。
車を出していた先輩が顔を出した。
「おい、もう乗って良いぞ………ってちょ、お前なんで泣いて……!?」
「へっ!?」
泣いてる?嘘………。
頬に手を当ててみると、手が濡れた。
いつのまにか涙が流れていたようだ。
「ご、ごめんなさい……!!
なんか、気が抜けちゃって……。」
アハハ……と力無く笑う。
「バーカ、気ぃ使ってんじゃねぇよ。」
先輩は車を降りて私に近づいてきた。
今さらだけど泣き顔を見られたくないのと、近いのが恥ずかしくて顔を俯かせる。
「無理すんな。人自体に恐怖を感じるお前がそう簡単に人前に出れるなんて思ってねぇからよ。」
先輩の手が顔の前に来て、顎をつかむ。
顔を上げられたっ…と思ったらメガネをとられた。
「せ、先輩……。」
「良いから。メガネとらねぇと涙、拭けないだろ?」
その声と同時に先輩の暖かい手が顔に触れ、指で涙を拭われた。
………不思議だなぁ。
なんで先輩の前だとメガネをはずしても平常心でいられるんだろう。
それどころか、先輩の近くにいるとむしろ安心してる気がする。
先輩は涙をぬぐったあと、また頭をぽんぽんってしてくれた。
「先輩……も、大丈夫です。」
そういってぎこちなく微笑む。
すると、大きくて骨ばった先輩の手が離れていった。
なんとなく頭が寂しいなぁなんて思ったけど、先輩に促されて車に乗った。
「行くぞ。」
と行って車を出した先輩はもう家までの道を聞くこと無く車を進めた。
