なんで私が芸能人ッ!?








「じゃあ今日はこんなとこで良いかな?」





と、社長さん。






「はい。……あ、なにか他に注意事項があるなら教えといてほしいんですが。」






「うちの会社はゆるいほうだからあまりないけど……、自分がいわば商品であることを忘れないんだよ。」





「商品……。」





「そう。迂闊なこと……例えば恋愛に関してもそれなりの覚悟は必要になる。
さっきも言ったけど、私生活で問題でも起こしたら即スキャンダルだ。
それから、体に傷をつけてはいけないし、りまちゃんは肌も白いからしっかり手入れしてその状態を保つこと。」





え……ゆるいとか言いつつ厳しくないですか?それ。





「あっ、そうだ!!」





いきなり声をあげる藤峰さん。





「りまちゃん手入れは洗顔だけとか言ってたわよね?
ちゃんとした化粧水とか日焼け止めとかも持ってきてあげるから少し待っててね。」






「え、良いんですか?」





「もちろん。2度目だけど、ちゃんと稼ぐのよ?」





「ありがとうございます………精一杯努力させていただきます……。」





言うと、藤峰さんは小走りでオフィスを出ていった。





「そうそう、それから一週間以内にデビューの仕事用意しとくからよろしくね。
あと、來がマネージャーにつくことはもう聞いてるね?」





「はい。ありがとうございます……。」





やっぱりマネージャーは決定事項なんですか……。





「わからないことは來に聞いてね。」





「わかりました。」






「じゃあ、今日もとりあえず車で送ってやるから下行くぞ。」





「はい。」





歩き出す先輩の後ろについていき、オフィスを出てエレベーターまで歩く。
化粧室の前を通ったとき、ちょうど藤峰さんが出てきた。





「あっ、りまちゃん!ちょうど良かった!!
この袋にいろいろ入れといたわよ。私の書いた手入れの仕方の本も入ってるから、良かったら参考にしてね。」





言いつつ渡された袋は可愛い花柄で、中を見ると化粧水?とかがいっぱい入ってた。






「わあ……、何から何まで本当にありがとうございます。」





「いえいえ。じゃあまたね。」





「はい!!」





天才藤峰さんと別れてエレベーターに乗る。
無言で気まずかったりするけど、芸能人モードのりまちゃんはへっちゃらみたいだった。





それから結局無言なままでついた先輩の車の前。





「あ、これ忘れてた。」





ずっと無言かな……とか思ったらいきなり声を発した先輩。
すっと手をつきだし、私に何かを渡してきた。





これって……





「メガネ……?ですよね、私の。」





「ああ。お前、なんだかんだ言ってメガネつけないでいてそのまま忘れてたんだよ。」





「あぁ……あ、ありがとうございます!!」





ガバッと頭を下げ、先輩からメガネを受けとる。





「先輩……もう、戻って良いですよね?私に。」





と聞くと先輩は、少し目を見開いて安心させるように優しく笑った。





………王子ってだてじゃないんだね。
これが私なんかじゃない女の人ならこの笑顔でいちころですって。
一応一般人なのにオーラ放っちゃってるもん。





それに、不安定になってる私の心まで気づかれちゃったみたいだし。





「ありがとうございます。」





とにかく、許可が出たのでメガネをつけ芸能人モードをやめる。