聞き覚えあるような無いような声とともに(むしろ女子の悲鳴とともに)出てきたのは、背が高くて黒髪の、イケメンな……。
………と、藤堂先輩!?
なんで!?
いや、お昼食べに来たんだろうけど……。
タイミング、悪すぎ……。
とっさに羅奈ちゃんの後ろに隠れる。
さっきのチャラ男もかぶって、完全に見えないはず。
「いや~、後ろ向きで歩いてたらどーんっとそこの女の子に………ってあれ!?消えた!?」
「はっ!?何いってんだお前。とにかく謝ってそれ戻しとけよ。」
「もう謝ったんだけど……どこに行ったんだろ?」
いっやぁぁぁぁぁぁ!!!
お願いしますっ、来ないでチャラ男~~~!!!!
必死に心の中で叫ぶも、羅奈ちゃんの背中にいるだけでは隠れることもできず。
不思議そうに辺りを見渡すチャラ男に
「あっ、いたいた♪」
見つかってしまった。
往生際の悪い私は体を小さくしてみたが、チャラ男が寄ってきて話しかけてきた。
「おーい、なんで隠れてんの?てかごめんね、大丈夫?」
何故かもう一回謝られたけど、それより存在を無視してください。
もしかしたら藤堂先輩に………
「……………ん?りまか?」
ほら、気づかれちゃった。
っていうかさらっと言われたけどなんで呼び捨て!?
昨日は違ったよね!?
それになんでここで話しかけちゃうんですかぁぁぁぁぁああ!!
「えっ、この子が例の地味子?」
「ああ……っていうか何やってんだ?」
チャラ男と会話をしつつ私に話を振る先輩に一生懸命視線を送る。
女子が見てるから話かけないでくださいって。
………………うん、通じてないね。
先輩とはアイコンタクトが通じないことがわかりました。
