おそるおそる目を開けた先にあったのは、絶句している先輩の顔だった。
いや、そんなにブスだった?お姉ちゃんと比べれば月とすっぽんとはいえ、普通くらいだと思ってたのに。
ていうか……そんなにあからさまに引かれると軽く傷つくんですけど。
意を決して、8年ぶりくらいに眼鏡はずしたんだよ?ひどくない?
確かに先輩の顔はきれいですけどね?
っていうかいつまで固まってんの!?
しょうがないから声かけてますけども。
「先輩……そんなに変ですか?そこまであからさまに引かれるとさすがに傷つきますよ?」
「はっ!?変!?………まさかの無自覚かよ?いや、姉がモデルならしょうがないのか?けどこの容姿で……」
なんかもごもご言ってるけど全然聞こえない……。
眼鏡はずしたのに、先輩のせいで恐怖心が消えちゃったわ!!
「先輩……、それでせっかく眼鏡外したんですけど。」
「あ、ああ。お前には土曜日、事務所に来てもらう。朝9時ここな。」
「土曜日!?」
いくらなんでも早すぎじゃない?
心の準備が……。
「部活も入ってないんだろ?あ、眼鏡はつけてこいよ。髪は一応おろしてこい。」
「えっ、眼鏡つけて良いんですか?」
「ああ。芸能界入ったあとも学校には地味子で通ってもらう。」
悪かったですねー、地味子で。
「わかりました。でもなんでですか?まあ大歓迎ですけど。」
学校で眼鏡とるとかあり得ないし。
「さすがに仕事の時は眼鏡とるし、メイクもするだろうからその格好だったら周りにバレずにすむだろ。」
あー、そっか。人気になって芸能人って知られたら面倒だもんね。
お姉ちゃんもそれで転校したし。
私は人気になれないと思うけど。
「うしっ、じゃあ家まで送ってやるよ。」
「えっ、大丈夫です、そんなの……。」
恩着せがましく言われてもありがたく送ってもらう気にならないんで。
………さすがにこの発言はひねくれてました。
「良いから、遠慮すんな。どうせ俺がマネージャーになったら毎日送り迎えするんだからよ。」
遠慮なんかしてるわけじゃないんですよ?全くもって。
それにマネージャーに毎日送り迎えって………んん?
「マネージャー!?」
「ああ。」
「先輩が!?」
「もちろん。」
「私の!?」
「俺じゃ不満か?」
「……いえ、そんなことは………」
あるけどね!?
だって先輩がマネージャーとか……。なんとなく無理……。
毎日緊張しちゃいそうだし、そもそも高校生が中学生のマネージャーってどうなの!?
しかもこんな美形な人と一緒にいたら妬みとかヤバイって、絶対……。
