夢追人



「っていうのが、このアルバムに伝わる逸話らしいよ」


言って、古びた、黴の匂いのする冊子を閉じ本棚に戻す。


蔵書確認のために訪れた書庫で見付けたアルバムは青年と初老の男性が写る、ただそれだけのアルバムだった。


「後の話だと、そのご老人は未来の青年だったという説もあるんだ」


埃臭い棚から、優に百は越える本が運ばれる。


「もうこんな時間だ。……残りは明日にするか、夕飯の支度もあるし」


先代が亡くなって3年、書庫には先代の先代、その前から代々続く歴史がある。


そのひとつひとつの歴史が重なり、今の自分達を形作っているのだろうか…


-The End-