「………ん、」


こんなしんどい時に誰だと思いながら、あたしはおぼつかない手でそっと携帯を手に取る。

そこから重たい手付きで、受信ボックスを操作していると、


"今日、どうした"

それだけ書かれた簡素なメール内容が、黒一色で携帯の画面に表示されていた。
もちろん、受信先の名前欄には、あの矢沢君の名前が表示されてある。


「………矢沢君か、」

あたしはそんな独り言をポツリと呟いて、そのままそっと画面右端に表示してある時間に目を向けた。チラリと目を向けた画面右端の時計には、09時55分と表示されてある。丁度2時間目の授業が始まった辺りだろうか。


「……何て返そう」

そんな事を思いつつ、あたしは重たい手付きでメールを打ち返し、送信ボタンをタップした。

矢沢君への返信メールには、『熱が出て、ちょこっと死にかけてます。』と冗談半分でそれだけ返しておいた。