美和ちゃんの目から、キレイな涙がこぼれ落ちた。
普段はギャル系の美和ちゃん…
いつも強くてアタシを助けてくれる美和ちゃん…
そんな美和ちゃんが、アタシのためなんかに泣いてくれる。
アタシの目から、さっきまでの涙とは違う、少しだけ嬉し涙が浮かんだ。
「…弥生ちゃん、やっぱ今日のことはちゃんと和哉に話すべきだと思うよ」
涙を拭いながらそう言う美和ちゃんの声はいつもより優しさが多く含まれていた。
「…でもね、イヤなの。…アタシと同じくらいカズくんも傷付いてしまうと思うから…」
美和ちゃんは深く頷いた。
「そっか…後は弥生ちゃんたちの問題だから、アタシはこれ以上口出ししないよ。…でも、もし後になって和哉にこのことがバレたら、和哉はもっと傷付くんじゃない?」
アタシは少し考えてから決意を口にした。
「大丈夫。このことはアタシ、一生心の中に隠して生きるよ」
美和ちゃんは少しだけ心配そうな目をした。
「わかった…じゃあ、アタシはもう口出ししないよ。…ただ、何かあったらすぐに相談してね。弥生はすぐに独りで思い詰めちゃうんだからさ」
アタシはニッコリ笑って
「ありがとう」
と言った。
 美和ちゃんがいてくれて良かった。
美和ちゃんのお陰で、心が少しだけ楽になった気がするんだ。
 美和ちゃんはその日、アタシの家に泊まった。
二人で夜遅くまでお喋りをして、どちらともなく眠りについていた。
今日はありがとうね、美和ちゃん。

 だけど、この日を境にアタシの人生が狂ってしまった。
もうカズくんと離れてどれくらいの月日が流れたのかな?
今となっては、運命だとかドラマチックな恋だとかは期待していないよ。
ただ、アタシとカズくんが出会うことが運命だったのなら…
もう一度だけで良い。
カズくんに会いたいの。