「亜鬼君!」

インが近づいて来ると
亜鬼は一歩ずつ後ろに下がった。
シラヌイに下手な行動は控えろと
言われているのだ。

「ん?あっ…えーっと。」

「亜鬼君…?どう したの?」

『お前が現地に行けば私が指示しよう』
(って言ってたから…そろそろ指示が…)

《主!!ダメです!!》

ルガルの声は、
シラヌイの指示で消され、
亜鬼は、ゆっくりと目を閉じた。

《隠す面の器か。
亜鬼、自然に会話するんだ。》

シラヌイの指示が聞こえると
亜鬼は、「あっ!ただいま??」と
笑って見せた。

「うん 心配した。
帝国軍に 嫌な 事 された?」

亜鬼は、本気で心配しているインの
顔を見て心が締め付けられた。
元々この依頼は刹那が死んだ
喪失感を埋めるために引き受けたモノ。
亜鬼は息抜き程度に思っていた。

《亜鬼、そいつが神器を持ってる
そいつごと連れてくるんだ。》

(了解です)

「亜鬼君 なんか 変。大丈夫?」

「おう!大丈夫!」

ズキンっ…

「そう 本当に 心配した」

「ごめん」

上辺だけの謝罪。
それにも胸がズキンっと痛む。

(なんだ…これ…。胸が…
心臓が…痛い…)



《いいぞ…。その調子だ。亜鬼。》