「イン!飲み物とかある?」

「ある 向こう。きっと 分けてくれる。
皆 優しいから。」

「そっか!俺行ってくる!」

遠くからリュウアは
インと亜鬼のやりとりを見て微笑んだ。

(きっと大丈夫。
俺がいなくても亜鬼は大丈夫だ。)

「あっれー?見ない顔ねー!
旅人さんかな?」

リュウアが去ろうとすると
クシロがそれを阻んだ。

「あの子の側にいてやってよ。
あの子、混乱しててアタシ達じゃきっと
まだ力になれない。」

するとクシロの後ろから
顔を出したリンリンも頷いた。

「なんだか訳ありみたい。」

リンリンが笑うとリュウアは
少し頬を赤らめた。

「もう少しいます。
でも帰らないと妹が…。」

死んでしまう。

帝国軍の手によって、
大事な妹が死んでしまう。
早く離れないと…。

『それはただの時計じゃない。
時間が経過する毎に、お前の魂を蝕み、
お前の魂が尽きれば、
私がお前の体をコントロールする。
そうなれば、お前の人生はそこまでだ。

『どうやったら解ける!!』

『愚問だな。
鬼の器を連れてくれば解いてやる。
妹も返してやる。
二人で一生暮らせるだけの金もやろう。』

亜鬼が危なくなる。