亜鬼が隠し部屋に入ってから暫くして、
扉を蹴る音と、何人かの足音が聞こえた。

(怖い…怖い…誰か!!父さん!!)

亜鬼は小さく縮こまると、
恐怖に心が支配され、一人涙を流した。

「探せ。まだ何処かにいる筈だ。
鬼の神器を逃がすな。」

(冷たい声。上から聞こえるけど…
今行けば殺される!)

《我が主泣かないで下さい。
私が我が主を守って見せます。》

涙で視界がボヤける中、
亜鬼は静かに立ち上がった。
それと同時にガコンっと音がして、
隠し部屋の扉が開いた。

「見つけたぞ。生き残りかぁ?」

二等兵が亜鬼の姿を確認し
側にいたシラヌイに知らせようと、
口を開いた瞬間、倒れた。

「我が主の為。」

亜鬼の目は赤く染まりまるで
鬼の目の様になっていた。

「誰だ?」

「人間風情が言葉を慎め。
我は破妖。四つの神器の一つ
鬼の神器だ。」

ルガルはそう言うと、
里を抜ける道を走って行った。