Lone Wolf

「リュウア…?」

「ああ!リオも一緒だぞ!
俺達も帝国軍から逃げれたんだよ!」

知ってるような知らないような
不思議な気持ちになる亜鬼は、
リュウアを見ると、
あの時の夢を思い出した。
誰かと走り回り、ふざけ合い、
よく父親に叱られた。
そんな夢を思い出すと、
亜鬼は全てが繋がって、
リュウアに抱きついた。

「誰 旅人? 」

「友達だ!親友!
なんで思い出せなかったんだろう…」

亜鬼は顔を顰めると
リュウアの妹であるリオがいない事に
気付いた。

「リュウア?リオは?」

「それが…少し熱を出して…」

「そりゃ大変だな…」

リュウアは申し訳なさそうに
亜鬼を見ると、胸に手を当てた。
決してドクンとは言わない心音。
その代わりに
静かに時を刻む音が聞こえる。

『いいか。亜鬼を連れて来なきゃ
お前の妹は殺す。』

『脅しじゃないよ?
シラヌイ様は本気なんだから!』

『リュウア…。私は死んでもいい。
でも亜鬼は助けて!』

リュウアの脳裏に、
妹の顔と憎き帝国軍の奴らが浮かんだ。
一番の望みは両方助ける事だが、
自分が死んでしまえばそこまでだ。

「リオなら…わかってくれる。」

「え?」

「こっちの話!なんでもねーよ。」

リュウアはインを見ると、
へにゃっと笑った。
それはインが全てを見透かしていそうな
目をしていたからだ。
だがへにゃっと笑えば、
もう心とは言えない胸の塊が、
ズキズキと痛んだ。