・・・

「逃げろぉおお!
シルバス帝国軍が来るぞ!!」

鬼と共存し暮らしている異質な里に
ボロボロになった男が戻ってきた。
目も当てられない傷跡に皆が心配した。

「どうしたんだよその姿!」

「俺の事はどうでもいいんだ!!
それより亜鬼を!!!」

「亜鬼が危ないとはどういうことだ!?」

騒ぎを聞きつけ男の元へ駆け付けた
領主の鬼王は男の肩を揺すり、
事情を聞いた。
そして上空に飛ぶゼロットを確認すると、
鬼王は急いで、家に戻り息子である亜鬼の手に神器の一つである破妖刀を封じた。

「我ら一族に伝わる鬼の神器…ルガルよ。これより先、器である尊き鬼神の子を
守りたまえ。どうか尊き器に神の御加護を与えたまえ。」

《汝の願い。聞き届けたり。
我、鬼の神器ールガル。
弱くとも尊い器に我の加護を与えよう》

「父さん!嫌だ!!凄く痛いっ!」

「我慢するのだ。これからは
破妖刀がお前を守ってくれる。
だが破妖刀はお前が守るんだぞ。」

鬼王は亜鬼を隠し部屋に入れると、
里を抜ける道を教えた。そして
絶対に出てきてはいけないと
亜鬼に念を押すと、
そっと亜鬼の側から離れた。