《亜鬼…。一緒に復讐しようよ
俺が手伝ってあげる》

亜鬼は耳を塞いで蹲った。
闇の声はどんどんハッキリ聞こえてきて
その声に度々、
耳を傾けてしまいそうになった。

「父さん…」

《大事な里を裏切って
皆を殺したのは兄さん達なんだよ!?》

笑って里を滅ぼした兄の顔。
その兄は、強く誰かを慕いそして
その意のままに行動した。
亜鬼は耳から手を離し
起き上がると、虚ろな目で、
「そうだね…。
倒すべきは帝国軍だ。」と静かに呟いた。


全ては里の為と亜鬼は
自分の中の闇に飲まれた。

・・・
クシロがリキとセラを呼んでくると
亜鬼はもう涼しい顔をしていた。
セラは亜鬼の心が
闇に飲まれた事に気づくと、
亜鬼の胸に手を当て、清輝を与え、
心の闇を軽くしようとした。

「ダメっす!まだ光が見えないっす!」

「ルガルは何してたんだ!?
主が大変だって言うのに」

「綺麗で優しい光。
あれが清輝…?」

ラウルはアレンの手を握ると
セラの清輝に祈りを込めた。
亜鬼がこの清輝を辿って
戻って来られるように。