・・・

「えっ…これって…」

亜鬼が思い切って一歩牢の外に出ると、
横から思い切り腕を引かれた。

「この作戦がバレたら水の泡っす!
君が牢屋に入る前から
気配消して待ってたんっすよ?」

「なっ…!」

今叫んだらまた牢に逆戻りすると思った亜鬼は必死に声を抑えた。
神父の様な格好をした亜鬼よりも
少し背の高い少年は、
亜鬼の腕を引いて、
Spellで真下に穴を開けた。

「早く逃げるっすよ!!!」

「えっえっ!!」

「大丈夫っす!
僕が守るっす!行きますよ!!」

穴を開けた衝撃にセツナが気づき、
シラヌイは静かに
「やはり…隠れて居たか…神の使いめ…」と言うとセツナに捕らえろと指示した。

「あれあれ?ネズミみーっけ!
ダメじゃん!シラヌイ様のゼロットで
静かにしてなくちゃ!」

ココノエが、亜鬼を連れて逃げようとする少年の前に立つと、
少年はニコリと微笑んで、
「イン!」と名前を呼ぶと
亜鬼の後ろから、出てきた少年が
凄まじい速さで、
鈴王を縛るSpellを解きに走って行った。
ココノエがそれを阻止しようと
Spellを出す頃には、
鈴王が居たところには何もいなかった。

「えっもう一人居たのか!?」

「ずっと 居た 気づかなかった?
この お面 おかげ」

インと呼ばれた小柄な少年は
にっこりと笑うと、鈴王を離した。