「どうするんですか?
彼奴を追いますか?シラヌイ様」

「ローザ神城聖地の領土内なら
我々側は誰も近づけん。」

帝国軍兼秘密警察組織の参謀長官を務める
シラヌイは静かに部下であるハヤミに言った。

「ローザ神城聖地は神に仕える司教達が
罪人を裁き、そして“赦す”場所だ。
どんな大罪を犯そうが、
神に赦されたと聞けば罪人は報われる。」

「こことは全く違いますね。
罪を厳しく取り締まり、
それに相応な刑や罰を与える。
それが罪を犯した人間に対する扱いだと
僕は思いますが…。」

ハヤミは男に取り付けた追跡機の信号を
見ていると目を見開き、画面を拡大した。拡大した画面に気づいたシラヌイは
追跡機の位置を確認するとニヤリと笑い、拷問部屋を出た。
「ハヤミ直ちに、ゼロット(小型飛行船)を用意しろ。」

「わかりました!」

ハヤミが駆けて行くの見ると
シラヌイは暗闇にいる人物に向かって

「お前が行け。
よく知っている場所だろう?」

と言うと飛行船乗り場まで歩きだした。