『亜鬼よく聞くんだ。
感情で左右されるSpellの感情体は、
己の心で変わる。
だから心で左右されるものなんだ。
憎めば闇を含み、祈れば光を含む。
憎悪に満ちた感情は己を傷つけるだけだ。だから、柔和に満ちた
感情を持たなくてはならないのだ。
ただ我武者羅に感情体のSpellを
使う事は出来ないんだよ。』

「父さん…」

亜鬼がゆっくり目を冷ますと、
カビ臭い牢の中に犯罪者のように
入ってる事に気が付いた。

「俺…捕まっちゃったんだ…」

亜鬼は壁に寄りかかると
背中に振動を感じ、
今は帝国軍に向かってる
最中なのだと察した。

「兄さんがなんで帝国軍と共に
里を滅ぼしたのかはわからないが、
里を裏切った事は変わらない。」

鬼と共存し暮らしてきたあの異質な里。
それでも手と手を取り合い暮らしてきた。亜鬼は周りから
どう言われようとあの里が大好きだった。

「帝国軍に行ったら
なにされるんだろう…」

一人牢屋の中で亜鬼は、
自分がこの後どうなってしまうのかを
考えていた。
すると、突然牢の鍵が開いた。