拷問部屋から聞こえる悲痛な叫び声。
どんな極悪人でも彼等には及ばない。
国の番犬。《Watch Dog》とも呼ばれる
帝国軍兼秘密警察組織には…。
帝国軍兼秘密警察組織とは、
簡単に言えば己の正義を貫き通す組織。
悪を潰す為ならどんな手段も選ばず、
死人が出ようとも、
正義の為なら迷わず潰す正に絶対正義。
国の命に従い、悪人を取り締まり、
罪を吐かせ罰を与える。
それが彼等の主な仕事。

「本当に何も知らないんだ!!
破妖刀なんて聞いたこともねぇ!!
本当だ!!」

あちらこちらに打たれた後や
殴られた痣、指は何本か折れている。
そんな状態で尚、必死に抵抗を続ける男。

「では、鬼と共存して暮らしている
里についてなにか知っているか?」

銀色の髪から覗かす冷たい目には
怯える検問者が映る。
検問者は首を横に振って、
知らないと言い続けた。

「ならば用は無い。去れ。」

冷たい声と共に扉が開かれ、
長い拷問を受けた検問者は
手荒に外へ放り出された。
ボロボロの状態で、
男はなんとか立ち上がった。

「仲間に知らせないと!
亜鬼が…器があぶねぇって…!!」

男は、全力で帝国軍の拷問区から抜け出し服の襟に追跡機をつけられている事も
知らずに、ただ仲間に危険を知らせる為に走って帝国軍の拠点を出た。