その時、北斗の傍にも一人の男性が現われていた。ドワーフのギルドである。ギルドは、千年前の戦いで、先代の王・グリードと共に戦った者の一人である。今は、北の王城・シュベレスとモリアの鉱山を行き来して、ノースが帰ってくるのを待っていた。
 「ギルド、久しぶりだな・・・なんの様だい?」
 北斗がそう聞くと、ギルドはすぐに跪いてこう言った。
 「俺を・・・一緒に連れて行ってくれ!お願いだ!ノース様。貴方について行きたいんだ・・・!」
 ギルドはそう言って北斗を見上げた。北斗は、首を横に振った。
 「危険だよ、ギルド。君は平和な日々に慣れすぎている・・・君を、危険な目に合わせたくないんだ。父の大切な友人を、僕のために死なせるわけにはいかない。解ってくれ。」
 北斗はそう言って俯いた。ギルドにも、その意味が解っていた。年老いたドワーフよりも、若いドワーフの方が戦力にはなるだろう。それに、友を失いたくなかったのだ。先代の王であり父であるグリフォンが慕った、王宮の歴代最高兵士を失いたくなかったのだ。