「で？何をして欲しいと？」
　「実は・・・。」
　ラーグウェイの後に、風流はさっき三人に説明した事を再び話た。話し終わると、ラーグウェイは眉間にシワを寄せた。ありえないといった様子だ。エルフの寿命は長い。ラーグウェイは、千年前の激戦の後に生まれた。それから今日までずっと生きている。後五百年近くは生き続けるだろう。この美しい容姿のまま。いや・・・エルフは死なない種族だ。後五百年たっても死ぬことは無いだろう。
　「なる程な・・・。良いだろう。協力してやろう。人間はともかく、我等の運命がかかっているのだからな。」
　ラーグウェイはそう言うと、外を眺めた。月の下で、赤い星がきらりと輝いた。

　その日は、そのまま寝ることにした。月の高さから見て、だいたい十一時ぐらいだろう。今までの街に住んでいたのなら、もう少し後の時間に寝ても平気だろうが、今はそうはいかない。全てが自給自足に近いのだから、明日からの長旅に備えて今日は少しでも休んでおきたい。野宿でそうやすやすと熟睡できるほど、自然は甘く出来ていない。