「で?今日は、何用でここまで来たんだ?こんな偏狭の地まで、好んで来るお前じゃないだろ?」
 お湯を温めながら、叔父はそう言った。炎の魔法によって、お湯はあっという間に沸いた。
 「実は・・・妹を、リベロを探しているんです。」
 紅茶を淹れていた叔父の手が、ピクリと止まる。
 「死んだのではなかったのか?」
 叔父がそう言うと、リデロの頭の中に、あの日の草原が浮かび上がった。そして、あの日のバシリスクの言葉が。リデロは、何を信じれば良いのか、解らなくなりながらも、口を開いた。
 「叔父さん・・・先の戦いで、私は知恵の豊富な女王に言われました。リベロは生きていると・・・。何か、知りませんか?」
 ドワーフの民族衣装が良く似合う妹。もう一度、元気な彼女に会いたい。その思いで、リデロは叔父に聞いたのである。
 「・・・リデロ。飯にしよう。」
 叔父は、何も言わなかった。叔父の頬を、冷や汗が流れ落ちるのが解った。