ノースは、父や兄と共に居た。王の台座を真ん中にして、そこから見て右にノース、左にエネルが座っていた。
 「エネルよ。我が跡取りは、ノースで良いかな?」
 「父上、何を今更。王家の跡取りには、この娘である私よりも、妖精に授かった息子であるノースが良いと、昔から申し上げていたじゃありませんか。」
 にっこりと王子―――いや、王女であるエネルはそう言った。
 「姉、上・・・」
 「良いんだ、ノース。今までどおりで。私も、もう、女として生きるつもりは無い。」
 「エネル・・・」
 「父上。そんな、寂しそうな顔をなさらないでください。この道を選んだのは、このエネルです。父上がそんな顔をなさる事はありません。」
 「ノース、エネル。明日、即位式を行う。」
 「「はい。」」
 北斗とエネルはそう言うと、父に一礼してからその場を離れた。
 「まだまだ、子供と思っていたが・・・わしも、甘いな。」
 グリードはそう言うと、成長した息子と娘を見つめた。幼かった頃の二人の様子が、今の二人にかぶって消えた。